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えりものブランド鮭「銀聖」の立役者に聞く北海道の鮭の魅力(有限会社入山佐水産)



筋子の写真

北海道でとれる海産物がブランド化されるようになった先駆け的存在とも言われているえりもの銀毛鮭「銀聖」。襟裳岬の沖はたくさんの鮭が回遊する"鮭街道"と呼ばれており、親潮と黒潮がぶつかる世界でも有数の豊かな漁場として有名です。「銀聖」はそんな日高沖で獲れた秋鮭の中でも銀鱗に覆われた「銀毛」と呼ばれる貴重な鮭の中から、さらに3.5kgを超える大型で脂のりの良いもののことを指します。襟裳沖で獲れる鮭の中でも5%程しか獲れないので銀毛鮭の王様とも言われており、北海道内の鮭の中でも頭一つ抜きん出た存在!
そんな「銀聖」を育んだ立役者、入山佐水産の佐藤さんに「銀聖」が生まれるまでのお話を伺いました。

「銀聖」の写真

えりもを離れ単身で築地へ
鮮魚のプロの技術を学ぶ

佐藤さんは親子3代続く漁師の家系に生まれ、小さい頃から日常的に漁の手伝いをしてきました。「小さな時から漁師を継ぐものと思っていましたが、漁師になる前に一度東京に出て色々な世界を見てみたいと思いました。最初はえりもを出て千葉にある全国漁業協同組合学校に1年間通学し、その後築地の鮮魚のプロを目指して番頭の仕事を学びました。19歳〜23歳まで4年間築地に勤め学んでいく中で、地元の漁師たちにはない鮮度保持の知識や魚を扱う人がどんなこと求めているのかなどを肌身で感じ学びました。」その後は24歳の時にえりも町に戻り漁師の道へ。

男性2人が並んでいる写真
左 : 入山佐水産の代表を務める佐藤さんと、右 : さけます孵化場の場長の年波さん

鮭の価格暴落というピンチを乗り越えるために

佐藤さんが日高地方の銀毛の鮭をブランド化しようと思った背景には、2001年代の鮭の価格下落が関係しています。「当時チリ産など輸入品の鮭が入ってきて、国産の特に道産の鮭の価格暴落が止まらなかった。どんなに獲って売ってもそれに見合う価格での取引がされず鮭漁師たちは苦しんでいました。そんな中で、自分たちえりもの鮭は輸入品とは一味違う価値のある鮭であることをアピールすることが大事だと思いました。当初同じ鮭漁師からもそんなことしても無駄だというような声も上がりましたが、志を同じくする仲間とともに動き始めました」

佐藤さんの漁船「明神丸」、定置網漁は春のトキシラズ漁と秋の秋鮭漁を実施する。

佐藤さんがまず取り組んだのは、道内外の人たちにえりもの鮭のおいしさを知ってもらうこと、自分自身が築地で学んだ魚の鮮度維持の方法や扱い方を共有すること。築地で学んだ技術を仲間の漁師たちにも伝え、漁の現場でも徹底した鮮度保持を行えるようみんなで考えながら設備を充実させることから始めました。また仙台や東京、札幌のなどの催事に趣き、えりも町外の人たちの意見を積極的に取り入れたのです。

物産展での売り場の写真
全国のデパートの北海道物産展などに参加、銀聖の切り身や筋子を販売した。

「築地では特に魚の鮮度を維持する工夫が勉強になったし、鮮度がいかに重要視されているかを実感しました。地元の漁師は獲れば良いだけでなく鮮度を維持することで美味しいものをより美味しく届けられます。そうすれば自然と目利きの人にはこの魚が他とは違うと気付いてもらえます。当時えりもでは水氷を使用して鮮度を保つなどの工夫を行なっている人はいなかったので、仲間内で製氷機を購入し、自分たちでできる限り鮮度を維持できるように工夫をこらしました。」

加工工程の写真
佐藤さん自ら選別を行い、新鮮な魚卵だけを使用する。手作業で血合いを丁寧に取り除く。
えりもではよくみられる鮭の『山漬』仕込み風景。

ふるさと納税では、そんな佐藤さん自慢の『塩筋子』をご用意。【入山佐水産】の筋子は独自の製法で着色料や保存料を使わず塩だけで仕上げています。獲れたての新鮮な鮭の魚卵を佐藤さん自らが選別し、消毒のための塩素につけます。その後塩をまぶし、小樽の樽屋に注文した特製の木樽に入れ込み常温で8日間寝かせることで水分を抜きます。水分が抜けることで旨味が凝縮され筋子本来の風味をしっかり感じられとろりとした食感になるのです。

いくら丼の写真

「独自の製法では、筋子をしっかり寝かせ旨味を凝縮させることで醤油などで味をつけなくても筋子本来の旨みを楽しんでもらえるようになっていると思います。自分自身が着色料や保存料等の匂いが苦手なのでそれらを使用しないように気をつけています。出来上がった筋子はそれぞれの鮭の卵の色がそのまま反映されるので、真っ赤な筋子を見慣れている人には驚かれますが、これが本来の卵の色なんですよ。解凍後は3日ほど熟成させるのがオススメです、とろりとした口溶けの筋子を堪能してください。」

未来に繋ぐために
今できる孵化事業に全力投資

孵化場内部の写真
佐藤さんと仲間たちが運営する歌別さけます孵化場

今年の日高地方の鮭の漁獲量は未だかつてないほど不漁でした。2021年に発生した赤潮以降、えりもの海も変わってきたということを、漁師たちはひしひしと感じています。「自分たちができることをやらずにいたらもっと状況は悪くなるばかり。そこで踏ん張ってどれだけ頑張れるかが自分は大切だと思う。今できることと言えば水産資源の回復に努めるための増殖事業だと思っています。歌別の鮭ます孵化場では年間約700万匹の鮭の稚魚を育て放流しています。今年放流した稚魚たちもオホーツク海やベーリング海を回遊し、4年から5年後にまたえりもに戻ってきます。大体4%から5%ほどの鮭が戻ってくれば良い方ですが、今は鮭の戻ってくる率も悪い。それでも自分たちができることに力を尽くします。」

鮭の稚魚の写真
生まれたての鮭の稚魚、腹部の赤い部分は「卵のう」と呼ばれ成長とともにここから栄養を吸収し大きくなる。

佐藤さんは漁師としての在り方について「楽しいとか好きとか以前に使命だと思っています。日本の食の根幹を支えている北海道の漁師や生産者たちはもっとプライドと自信を持って仕事をした方がいい。自分たちがいなければ、東京や都心の食料は賄えないしこんなに日本の食は豊かになっていないと思う。だからこそ、自分の経験してきたことや感じてきたこと、今向き合っていることを若い漁師たちに伝えたり講演会に呼ばれたら積極的に参加するように心がけています。」と語ります。日本の食を支えるプライドと確固たる信念が佐藤さんの根幹にあるのだと感じました。

今期の春のトキシラズ漁に向けて、仲間の漁師たちと網の手入れを行う。

「えりもの鮭はおいしいと自信を持って言える。今回のふるさと納税でも多くの人に知ってもらえる良い機会だと思っています。ぜひえりも町の鮭や筋子を味わって、えりもの食の豊かさを感じて欲しいです。」北海道の海の恵みを存分に味わえる、入山佐水産の「塩筋子」は一見の価値ならぬ一食の価値ありです。

会社概要

有限会社入山佐水産

  • 住所 : 〒058-0205 北海道幌泉郡えりも町大和327-1

  • 電話 : 01466-2-2223

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